リペア前 |
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今回張り替えを行うCB400FOURの中古シートです。
前後とも座面のアンコが結構な量抜かれ、いわゆる段付きシートになっています。
表皮の縫製はプロのシート業者さんにより作業された感じですが、張り替え自体はアマチュアっぽい仕上がりです。
ベルトはシートと一緒にフレームへ共締め固定ではなく、シートベース底面へ穴を開けてボルト&ナットで固定するという、なかなかワイルドな取り付け方でした。
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シート張り替え前の準備作業につきましては、各車種の張り替え手順、またはこちらの張り替えやってみようのページをご参考ください。
シート皮剥がしましたら、どんな風にアンコ抜きされているかを見ておくのも一興かと(^^;
今回のシートはスポンジ表面がかなりワイルドにアンコ抜きされていていました。
アンコ盛りはなく、アンコ抜きで段付きにしてあります。
後部座席部分は削りすぎてシートベースが見えてます(^^;
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アンコ抜きの仕上げや、劣化でのシートスポンジ表面の凸凹を均すときは、画像の「ダイソー ステンレス製おろし金」が超オススメです。
おろし金が平らではなく反った形状なので曲面を仕上げやすく、歯の立ち方も絶妙でサクサクとスポンジを削ることができます。
カド部分(○印部分)がスポンジに引っかからないように、折り曲げてやるとより作業性がアップします。
もはやスポンジ加工用の専用工具では・・・と思えるくらい「使える」アイテムです! |
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流石にここまで荒くアンコ抜きされていると凸凹が目立ちますので、表面にキルト芯を重ねておきました。
画像は1枚重ねですが、凸凹を目立たなくするには3枚重ねにする必要がありました。
この上に防水用のビニールシート(薄手のゴミ袋でOKです。)をかぶせ、続いてシート皮をかぶせます。 |
step1 前後を仮止めします |
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それでは作業開始です。
今回は生地変更によりアウトレット扱いとなりました、NC36型CB400FOUR用アウトレットシート皮を使用します。
まずは左右のズレに注意してシート前後を仮止めします。
シート先端のスポンジのカドにシート皮の縫い目を合わせます。ココが張っていく基準となりますのでしっかりと。 |
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大体こんな感じになればOKです。
ここの作業ははほとんどの車種で同じですので、
・シート皮のズレや傾きに注意する。
・シート先端とシート皮の縫い目を合わせる。
・張り具合は気持ちゆるめに
の3点を押さえておけばOKです。
何だかサザエさんの次回予告みたいですね(^^;
んがっくっくっ
画像クリックで拡大表示します。
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step2 シート前部の本張り |
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アンコ抜きされたシートを張り替える場合、シート皮がアンコ抜きされた箇所に向けて強く引っ張られることになります。
そのため影響を受けやすいシート前部分を最初にしっかりと張っておきます。
※アンコ抜きされた形状に合わせて裁断・縫製されたシート皮の場合は、この限りではありませんのでご注意ください。
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正面から見たところです。
こんな感じでシート先端の形状にシート皮の縫い目を沿わせてタッカーを打っておきます。
画像クリックでシート裏側を表示します。 |
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シート前側が今後張っていく際の基準となりますので、しっかりとタッカーを打ち込んでください。
アンコ抜きされた部分はスカスカですが、今はそれでOKです。
画像クリックで拡大表示します。 |
step3 前後アンコ抜き部分を左右に張る |
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前後のアンコ抜きされている部分を左右に張ります。
前、後ろともいちばんアンコが抜かれているところを、左右に強く張ります。
左右どちらか一方に張り過ぎないように、バランスに注意してください。
特に型押しのあるシート皮は左右のズレが目立ちますのでお気をつけください。
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抜かれたアンコの量にもよりますが、1回張っただけではたるみやシワはまだまだ多いと思います。
ココでは大まかにアンコ抜きされたシートに沿ったシルエットであればOKとします。
画像クリックで拡大表示します。 |
step4 前座面アンコ抜き部分を張る |
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シート前座面に残ったたるみやシワがなくなるように、ななめ前・ななめ後ろに張っていきます。
アンコの抜き方や元々のシート形状によってシート皮のたるみ具合が変わってきますので、それに合わせて張りの強さを調整します。 |
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何回かに分けて少しずつ張りを強めていくと、やりやすいかもしれません。
画像くらいの段差があるシートですと、○印の部分は必ずシート皮が浮いた感じになります。
まったくの純正でも前後で高低差のあるシートでは浮くものですので、この浮きは無視してOKです。
だいぶスポンジ形状に近い張り具合ですが、細かなシワ・たるみは残ります。
画像クリックで拡大表示します。 |
step5 シート後部のアンコ抜き部分を張る |
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シート後ろ座面に残ったたるみやシワがなくなるように、ななめ前・ななめ後ろに張っていきます。
アンコの抜き方や元々のシート形状によってシート皮のたるみ具合が変わってきますので、それに合わせて張りの強さを調整します。 |
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シート後部を手で押したところです。
シート後部はシートベースが見えるくらいスポンジを抜いてありましたので、スポンジに沿って張れたように見えても、実際はシート皮が浮いた状態になっています。
スポンジ形状に合わせたシート皮ではないため、仕方がないところです。 |
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こちらも何回かに分けて少しずつ張りを強めていくと、やりやすいかもしれません。
だいぶスポンジ形状に近い張り具合ですが、細かなシワ・たるみは残ります。
画像クリックで拡大表示します。 |
step5 アンコ抜き部分を張る その3 |
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step3、4の作業で大まかにアンコ抜きされた部分に沿ったカタチになったと思いますので、全体を整えるように再度張り具合を調整値します。
シワやたるみが取れない場合は、部分的に針を抜いて打ち直しすることになるかと思います。
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真横から見るとこんな感じです。
これくらいなだらかであればまず問題ないはずです。
step4で説明いたしました例の浮きは相変わらずあると思いますが、無視してOKです。
型押しがある場合、型押し部分がちょうど折り目の様な感じになりますので、型押し形状によってはシート形状に沿いやすいです。
が、反面、型押しのせいで生地自体の伸びは悪くなりますので部分的に張りがキツくなることがあります。
画像クリックで拡大表示します。 |
step6 シート後部の本張り |
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シート後部を本張りします。
今回のようなガッツリとアンコ抜きされたケースでは、後部座面はかなりきつく張らないとシワ・たるみが残ってしまいます。
どうにも作業しにくい場合はドライヤーなどで暖めて、シート皮の伸びを良くするとやりやすいかもしれません。
ドライヤーご使用の際は、暖めすぎにご注意ください。
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シート裏側です。
こんな感じでグイグイと裏側へシート皮を引っ張り込んで張ってあります。
強く張るときはタッカーを細かく打って、シート皮にかかる力が一箇所に集中しないようにしましょう。 |
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真横から見るとこんな感じです。
まだ少しシート皮はスポンジから浮いています。
トコトンまで引っ張ればもう少しいけそうですが、シートベースの変形(反り)を考えると、これくらいが限界でした。
樹脂製のシートベースは、車種によっては思いのほか簡単に反ってしまうので、強く張ったときは一度車体に取り付けて確認しておいた方が良いかもしれません。
画像クリックで拡大表示します。 |
step7 バランス調整〜完成 |
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シート全体のバランスをみて張り具合を調整します。
曲がって打ったタッカーの針やゆがんだ針を抜いてきれいに打ち直します。
アンコ抜きされたスポンジに、純正形状に対応したシート皮で張っていますので、ドライヤーなどを駆使してここで帳尻合わせをします(笑)
ベルトや金具などの付属品の取り付けは、各車張り替え手順ページをご参考ください。
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完成です。斜め前から。
挟み込んだキルト芯のおかげで、結構な量のアンコが荒く抜かれていた割りには、キレイに仕上がったと思います。
ただしこれくらいきつく張ると、どうしてもシートベースの反りは出てしまうので、タンクとの間にすき間ができてしまいます。
画像クリックで拡大表示します。
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ななめ後ろからです。
作業したのは5月でしたので今回ドライヤーは使いませんでしたが、気温の低い冬は生地が伸びにくいので、ドライヤーを使うことをオススメします。
画像クリックで拡大表示します。 |