VTR250(インジェクション車) シート張り替え手順
 
 張り替え手順で使用しているシート皮は、生産ロットにより販売しているものと一部異なる場合がございます。
 

 VTR250(インジェクション車)は前後でシートの高低差が大きく、さらに前側は左右へ大きく張り出しているため、部分的にきつく張っていく必要があります。
 少し張り替え難易度の高いシートですが、手順に沿って作業いただければ画像の様な感じで仕上がるかと思います。

 VTR250(インジェクション車) 用張り替えシート皮 商品詳細ページへ


前準備
作業時は必ず保護メガネを着用してください。

張り替えに際して外しておく部品
ベルト&シート金具
部分)

取り外しに必要な工具
10ミリのレンチ

ベルトと、その下にある板状のシート金具は、10ミリのボルトで共締めされています。
2箇所のボルトを緩めて、ベルトとシート金具を取り外します。
張り替えやってみようのページを参考に古いシート皮を剥がし、防水ビニール、シート皮の順にシートにかぶせます。

防水ビニールは袋状になっていますので、必要なサイズに切り開いて使用します。
VTR250(インジェクション車)の場合、半分ではギリギリですので片側を残して切り、大きな一枚のまま使用します。

シート先端が左右に張り出しているので、画像の
赤線の様に防水ビニールに切り込みを入れておくと、後々作業しやすいです。
防水性に余裕を持たせるため、あまりスポンジギリギリまで切り込まず、少し手前までにしておきます。

  

step1 シート前後の仮止め
シート前後(部)を仮止めします。

シート前側は、スポンジのフチと縫い目が大まかに合う位置で合わせます。

シート後ろ側
は、折り返しが約6cmになるような位置で合わせます。
シート前側を正面から見たところです。

画像のように、シート皮の縫い目が、スポンジのフチから若干内側寄りに来るようにして、仮止めします。
シート前方の裏側です。

少しで力がかかる部分ですので、しっかりと3点タッカーを打っておきます。(
印部)

シート先端左右部分の突起部分ですが、シート皮にある切り欠き部分から、その突起が出るようにしておきます。
印部)
シート後部裏側です。

画像の矢印部分、シート裏側に折り返した部分の長さが、約6cmになる位置まで引っ張って、3点ほど仮止めします。

この矢印部分の長さが短いと、後の工程でなかなかシート前側のたるみ・シワが取れません。
仮止め後、この長さを必ず確認してください。
寸法を合わせて前後の仮止めが完了した状態です。

画像の様に先端部以外は、シートスポンジの形状にはほとんど沿っていない状態ですが、この段階ではそれでOKです。

シート後部の寸法合わせだけはしっかりと行ってください。
また、シート皮が左右どちらか一方に寄っていないか確認してください。

片側に寄っている場合や寸法が異なっている場合は、針を外して再度仮止めします。


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step2 シート左右の仮止め
シート左右(部)を仮止めします。

ちょうどシート中央の前後の段差のある辺りを、斜め後ろ方向に張ります。

左右のバランスに注意してください。
張る位置と向きですが、画像のあたりを斜め後ろに張る感じです。

左右のバランスには注意してください。

シート皮ごとシートのフチをつかみ、手の平でシート裏側へシート皮を巻き込むような感じで張り具合を確認して張っていくと、やりやすいかと思います。
シート裏側です。

左右のバランスをみながら2〜3点で仮止めします。

張る強さですが、だいたい下の画像のような感じになる程度の張り具合でOKです。
これで仮止め完了です。

まだまだシワやたるみだらけですが、概ね画像のような感じであればOKです。

大切なのはシート本体に対してシート皮がずれていたり、ななめになっていないか確認することです。

ずれている場合は針を外して再度仮止めを行います。

OKですか?では本張りに行きましょう!



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step3 シート前座面を張る その1
シート前座面の前寄り部分を斜め前へ張ります。
  
シート裏側です。

シート前側のたるみを減らしていきます。

ここでもシート皮ごとシートのフチをつかみ、手の平でシート裏側へシート皮を巻き込むような感じで張り具合を確認して張っていくと、やりやすいかと思います。
シート前側を表から見たところです。

この段階では完全にたるみを取ることはできないので、画像の
印のあたりは、シート皮がスポンジから浮いた状態になります。

前座面を斜め前に張った状態です。

前側がぐっとシートの形状に沿ったカタチになっていると思います。



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step4 シート前座面を張る その2
シート前座面の中央部分を左右に張ります。
シート裏側です。

ここでもシート皮ごとシートのフチをつかみ、手の平でシート裏側へシート皮を巻き込むような感じで張り具合を確認して張っていくと、やりやすいかと思います。

前座面を左右に張った状態です。

だいぶシートの形状に沿ったカタチになり、座面中央のたるみ、シワがマシになったと思います。



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step5 後ろ前座を張る
シート後ろ座面の前寄り部分を、斜め後ろへ張ります。

ここはシート前後の段差がある場所で、生地がたるみやすいため、少し強めに張っていきます。
シート裏側です。

シート前後の段差にあるシワ・たるみが、ほぼなくなるようにします。

ここでもシート皮ごとシートのフチをつかみ、手の平でシート裏側へシート皮を巻き込むような感じで張り具合を確認して張っていくと、やりやすいかと思います。
後ろ座面を斜め後ろに張った状態です。

シート前後の段差にあったシワ・たるみがほぼなくなり、スッキリした思います。



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step6 シート後部の本張り
シート後部を本張りします。

仮止めで打ったタッカー針が邪魔なときは、一旦鍼を抜いてタッカーを打ち直します。

シートベースの形状上、一部ハンドタッカーでは針が打ち込めない箇所があります。

シート裏側です。

シートの角になる部分は、画像のように生地をシワ寄せしてタッカーを打ち、表側にシワ・たるみが出ないようにします。
後ろ座面は、前側ほど強く張る必要は無いと思います。

四角いゴムダンパーのある箇所は、そのままハンドタッカーでは針が打ち込めませんので、以下の方法を参考に、シート皮を固定してください。
<方法その1 タッピングビスにて固定する>

四角いゴムダンパーのある箇所は、そのままハンドタッカーでは針が打ち込めませんので、タッカー針の代わりに「ネジ径約3mm、長さ約8mmのタッピングビス」と、「内径3mmの平ワッシャ」でシート皮を固定します。

平ワッシャがないと、ビスをねじ込む際に、生地を巻き込んでしまうのでご注意ください。

<方法その2 ギリギリにタッカーを打ち込んで固定する>

四角いゴムダンパーのある箇所は、そのままハンドタッカーでは針が打ち込めませんので、四角いゴムダンパーを手で抜いて外し、シートのフチのギリギリに強引にタッカーを打ち込みます。

ただし、ハンドタッカーではまっすぐに針を打ち込めないと思います。
画像の様に、針は浅く刺さり、浮いた状態になります。

脚長が6mmよりも長いタッカー針だと、表側に貫通する可能性もありますのでご注意ください。
<方法その2 ギリギリにタッカーを打ち込んで固定する>

強引に打ち込んで半刺さりになったタッカー針は、画像のように針のカド部分をマイナスドライバー等で押し込み、最後まで針が刺さるようにします。

画像では位置関係がわかるようにドライバーが斜めになっていますが、斜めではなくまっすぐにゆっくり押し込むと、押し込みの際に針が変形しにくくなります。

ゴムダンパーは位置を合わせて叩いてやれば、元通りハマると思います。
ハマりにくいときは、潤滑剤を軽く塗布してみてください。
タッピングビス(印部)と、ギリギリにタッカー印部)それぞれの方法で、シート皮を固定した状態です。

どちらもイレギュラーな方法になりますので、もしエアータッカーが使える(懇意なバイク屋さんにお願いするなど)ならば、この部分だけエアータッカーで打ってもらうのが良いかと思います。
後ろ座面を本張りした状態です。

シート後部座面に関しては、シワやたるみが出にくいと思いますので、作業としては難しくないかと思います。

そのかわり、タッカーの打てない四角いゴムダンパーのある箇所の処理が、ひと手間必要になります。


画像クリックで拡大表示します。

  

step7 シート前部の本張り
シート前部を本張りします。

目で見えるシワ・たるみを取っていきます。


仮止めで打ったタッカー針が邪魔なときは、一旦鍼を抜いてタッカーを打ち直します。
シート裏側です。

シート皮外周部分の生地がピンと張って、タッカーが打ちにくい場合は、画像のように外周部に切り込みを入れると、タッカーを打ち込みやすくなります。
シート表側です。

画像の様な感じで、シート皮の縫い目と、シートのフチが沿うようにします。

縫い目を若干内寄りくらいに沿わせると、純正っぽい感じになりますし、仕上がりも綺麗に見えますので、じっくり作業してみてください。
シート前部の本張りが完了した状態です。

シートの形状上、生地がスポンジから浮く箇所がありますが、純正も部分的に浮いた状態になっていますので、目で見えるシワ・たるみがなければそれでOKです。


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step8 バランス調整
シート全体のバランスをみて張り具合を調整します。
たるみ・シワがあれば部分的に張りなおします。

曲がって打ったタッカーの針やゆがんだ針を抜いてきれいに打ち直します。

余分なシート皮をカッターなどで切り取ります。
くれぐれもケガにはご注意ください。

外しておいたベルト、シート金具を取り付けます。
シート裏側です。

生地の縫い合わせ箇所はそこから縫い合わせがほつれてこないように、画像の印の部分のように念のためタッカーを二重打ちしておきます。
シート金具をシートべースに乗せ、その上からベルトを取り付けます。

シート金具は取り付け方向を間違うと、シートベースにしっくり収まりませんので、間違うことは無いと思います。

汎用ベルト等の、ベルト端に金具がないベルトを使用する際は、ベルトの上に大きめの平ワッシャー(内径6mm、外径22mmくらいのがホームセンターなどで入手できます。)を乗せてからナットを締め、確実な固定をしてください。

  

step9 完成
完成です!

どうだったでしょうか?うまくできましたか?

起伏が大きく、また部分的に強く張る所もあるなど、難易度は高めのシートですが、この通りちゃんと仕上がります。

まずは仮止めでの寸法合わせ(特にシート後部)を確実に!


クリックで拡大します。
ななめ後ろからです。

後ろ側では、タッカーが打ち込めない箇所があるため、ひと手間かけて作業する必要があります。
ただし前側ほど難し差はないと思います。


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実際作業されて分かりにくい所がありましたら掲示板またはメールにてお気軽にお問い合わせください。

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